春節(2月7〜8日)

今朝がたの白酒が効いてか、ほとんど眠れないまま起床。今晩は各国の料理を持ち寄るとの趣向なので、昼から日本人同学のKさんと群光広場まで買出しに行くことに。それにしてもさすが春節当日、群光広場に行くまで、軒並みお店が閉っている。日本だと、正月でもコンビニ、一部のスーパー、デパートは開いているので、ここまで静かなのはなかなかお目にかかれない。


群光広場に着くと、いつの間にかスターバックスコーヒーが出来あがっていた。確か、開店は今年の3月って表に貼ってあったけど、このお店、強度偽装とかしていないのだろうか。そして、食料品売り場に向かう我々の耳に入ってくる怪しげな太鼓の音、そして姿を現した獅子舞!……うん?獅子かな?とてもそれとは思えない、愛くるしいデティル。さらに、この獅子、客をほとんど無視して、何故か店員に絡む絡む。そんな獅子に店員も客を無視して、携帯電話のカメラで撮りまくる。この空間、ちょっとしたデパートにもかかわらず、完全に客を無視している。これは社会主義国家だから許されるのだろうか、日本ならもう少し客に対するサービスがありそうなものだが?ちなみに、太鼓を叩きの中にこんな小さな子まで居た。春節からどうもお疲れ様。


群光広場で無事買い物を終えその帰路で、Kさんがいくつか花火を購入。どうやら花火をするのが長年の念願だったらしいのだが、この花火が後にちょっとした事件を起こすことなど思いもよらなかった。Kさんの部屋に着いた我々はさっそく料理の下ごしらえに入る。今日作るのは、炊き込みご飯・生姜焼き・ポテトサラダの3品。何だとあなどるなかれ、中国で和食?を作るのは結構難しいのだ。まず、炊き込みご飯、計量カップがないので、全て目分量。180ccを目で測るのは至難の業だった。次にポテトサラダ、ジャガイモを茹でて塩・胡椒・マヨネーズで味付けをしたのだが、何故かとても甘い。さらに、塩と胡椒を投入したものの、その甘さが際立つばかり。最後に生姜焼き、中国に豚のスライスなどないので、今回は特に切ってもらったのだが、微妙に厚い。さらに、同じ味付けをしたものの、2度に分けて焼いた肉は全く違う味に出来上がる。まさにミラクルである。


完成した「物」を持って部屋に戻ると、待ちくたびれた金黄とミャオミャオがお出迎えをしてくれた。その後、間髪入れずシャビとその友人のクリン(ベナン人、本名は忘れました)が、料理を持って登場。みんなで持ち寄った料理を並べ、昨日白酒が残った失敗を省みた金黄が買ってきた紅酒(ホンジュウ、ワイン)で乾杯(味はそこそこだったので、今度は違う食べ物と一緒に飲みたいものだ)。色々あるが今日のメインもやっぱり金黄が作った鍋。それもスッポン鍋ときたものだ。食べながら、(どこで使うかは全くわからない)精力が付けられると、金黄はいつものいやらしそうな顔で大興奮。こういうところがなければ、カッコイイやつなんだけどな…そうこうしているうちに、ワインが終わり、ビールの登場。ここで意外な特技を見せたのが、クリン。飲むスピードの速いこと早いこと、一瞬で瓶1本が空になってしまい、飲みたがらないシャビの分まで飲み干してしまった。


その後、みんなのお腹が膨れたところで、片付け。そしてケーキの登場、何と明日はミャオミャオの誕生日らしい。ケーキの上を見ると、30の数字をかたどったロウソクが刺してある。ということは同じ年…それなのに、この落ち着きぶり。そもそも、ベトナム人は留学生の中でもよく騒ぐのに、彼女を見ていると、そんなベトナム人の印象も払拭されそうだ。これこそが真の30歳・大人の姿だったのかと1人感心する中、3ヶ国語でお誕生日ソングを歌い、ケーキ入刀と進行し、おいしいケーキをみんなでいただきました。


ケーキも食べ終わり、そろそろ〆ということで、Kさんの買ってきた花火をすることに。初めは、きれいな花火を皆で愛でていたのだが、次の花火が良くなかった。火を点けた瞬間、鼓膜が張り裂けんばかりの轟音。まるで爆撃されたような音で、昨日の鞭炮などこれに比べたら、可愛らしい音である。あまりの音に日和った日本人とベナン人をよそに、ベトナムの2人は大はしゃぎ。みんなの制止を聞かず、次々に着火。姉さん、貴方なら金黄を止めてくれると思ったのに…そうこうしていると、他のアフリカ系留学生が窓から「他に行ってやれ」と怒ってきたので、日本人2人が「やっぱりね」と移動しようとすると、この姉さん「何で?年に1回のことだから良いじゃない」て笑顔で答えている。ビバ30歳!ビバ姉さん!貴方はやっぱり、ベトナムの人だったのですね…やっとのことで説得をし、移動することになったのだが、それでも100メートル程移動すると、「ここで十分だろう」と金黄とミャオミャオが腰を下ろし、再度ドッカンドッカンし始める。心の中で何度も「ごめんなさい」と繰り返したものの、端から見るとこれではただの共犯者である。


これ以上の犯罪?を恐れた日本人2人は、金黄が現場を離れている間に、慌てて「爆弾」を回収。その後、帰ってきた金黄は「あと4つ(実際は3つ)残っているはずだけど」と明らかに疑いのまなざしを日本人2人に向けながら、ポケットの中まで調べ始める。良かった、遠くに隠しておいて…安全な花火に心なごませる日本人・ベナン人をよそに、金黄とミャオミャオは明らかに詰まらなそうだったが、仕方あるまい。今度はみんなで鞭炮やるから、許してね。


花火も無事?終わり、金黄がミャオミャオを家まで送っている間に、我々日本人は残された良心を奮い立たせ「爆弾」処理を終える。こんな「爆弾」1個1元(15円強)、今晩の想い出プライスレス…こんなものが路上で売ってて、誰でも買えるなんて、恐るべし中国である!日本でこんなもの鳴らした日には、恐らく通報されて、警察が飛んできて、「ちょっと」話を聞かれることになるだろう。


こうして、スリリングな春節は死傷者を出すこともなく、無事終わったのであった。