多谷千香子『「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))』ほか

久しぶりに、午後まるまる予定がなかったので、気分転換を兼ねて図書館へ。今日借りた本は、多谷千香子『「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))』と金子修一『中国古代皇帝祭祀の研究』の2冊。

「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))

「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))

中国古代皇帝祭祀の研究

中国古代皇帝祭祀の研究

前者は、ストイコビッチグランパスの監督になったからではもちろんなく、「民族浄化」という題名に惹かれたから。以前読んだ本に、日本の研究はまず「民族」の定義をしてから、研究に取り掛かろうという傾向が強いと書かれていたが、前近代(ここでは近代以前)と近代以降の「民族」の違い、その両者を同じ用語で括れてしまう「民族」という概念の範囲を自分なりに整理しておく必要はあるだろう。後者は、儀礼関連のことを調べる必要があったので、儀礼に関してはまず読むべき本と思い借りた。金子氏の本は以前購入したものの、日本においてきてしまったので、今後も借りることがあるだろう。


先日読了した岸本美緒編『岩波講座 「帝国」日本の学知〈第3巻〉東洋学の磁場』の感想を少し。1つ1つの事実関係はとても興味深く読めたのだが、戦前の東洋学を研究をすると、当然、当時の政策と絡めて考察することとなり、この本が出版される以前に発表された研究も概ねそのようなスタンスをとっている。そういう意味では、本書に収められている研究のうちいくつかは、これまでの研究とあまり変わりばえのしないもののように思えた。新しければ良いわけではないが(それが人文科学の特徴の1つだと思う)、せっかくこのようなシリーズの一環として発表されるのだから、もう少し新しい視点があっても良かったのではないか。