大学図書館

今日初めて、主に外国書と雑誌を配架している図書館に足を伸ばしてみた。目的は台湾の書物がどれほどあるのかを確認するためだったが、歴史の分野に限って言えば、満足できるものではなかった。すなわち、配架されている本のほとんどは1970年代以前のものであり、その数も極々限られていた。


中国の大学で、どれほど台湾の本を見ることができるのかわからないのだが、一応重点大学を謳っている大学がこの状態ならば、他の大学は推して知るべきなのだろう。そもそも、中国の大学に来て、台湾の本を見たいというのがおかしいのかもしれない。


大学図書館の評価は、学生にどれほど様々な本を手に取る(目にする)機会を提供できるかによって決まると個人的には考えている。その意味では、自分が所属している大学の付属図書館も決して楽観できる状況にはない。それはさておき、中国の学生はどのように台湾の研究成果を入手するのだろうか?(先生レベルなら幾らか方法はありそうな気もするが)歴史学の研究に限れば「新しければ新しいほど良い」という訳ではないものの、リアルタイムに近い感覚で研究成果を目にすることができる環境とできない環境の間には雲泥の差があるし、ましてや研究の国際化が叫ばれる昨今(別に日本だけではなく、中国でも似たような環境にある)ではなおのことである(例えば、あるテーマの問題が台湾ですでに研究されており、中国の研究者が知らずに同じテーマの問題を取り扱い、さらに結論も同じならば、その研究は不必要なものになってしまう)。


学問と政治は無関係などということを言うつもりはないし、中国と台湾の「微妙な」関係も一般的なレベルぐらいにはわかっているつもりである。しかしながら、研究の国際化を叫ぶならば、同時にそれに応じた環境を整えるべきなのではないか(内閣文庫に行く時のような条件を付けるなど)と、「甘い」考えを持った自分は思った次第。