上海旅行記④(2007年12月24日)

雨は降ってないものの、朝からどんより曇り空。絶好の日和とは言えないものの、予定通り上海動物園に向かう。


はじめは、最寄駅から、タクシーの利用を考えたが、結局、チープにバスで行くことに。武漢でもほとんどバスに乗ったことはないのだが、乗車後、チケットを買うというシステムは初めて。さらに、次のバス停の表示が出ないと来たものだ。聞きとりに難ありの自分は、恐る恐るチケット売りのおばさんに、上海動物園に行きたいことと、バスのアナウンスが聞き取れないことを、正直に話すと、表示のスイッチをいれてくれ、さらに着く直前に「次で降りろ」と声をかけてくれた。ありがとう、おばさん!無事おりることができた2人は、まずは腹ごしらえと動物園近くの麺屋さんに入る。刀削麺と鶏〜麺(忘れた)を注文するが、刀削麺はないとのことだったので、お店のおじさんに促されるまま、同じ金額の他の麺(これも名前を忘れた)に変更。ともにカレー味で、香菜がたっぷり、お腹を満した2人は、お店を後にして、動物園へ。


この日の動物園は、時期的な問題か天気の問題か、閑散としていた。さらに広大な敷地を誇る上海動物園では、どこに何がいるのか全くわからない。青看(表示の看板)にしたがって歩くものの、無事目的の動物に会える可能性は極めて低かった。それでも、「急ぐ旅でもあるまいし、良からん」と開き直って歩いていると、予想外の動物に出会えたりして、それはそれで楽しい。白色のクジャクは恐らく初めて見たし、レッサーパンダは日本のより芸達者、単に立つだけではなく、木にまで登り、観客の前まで来るサービス付き。そんな感じで、興奮度を深めつつ2人の興奮が最高潮に達したのは、やはり上海動物園のアイドル?パンダに出会った時。Iさんはパンダのアヘン中毒っぽいところも、好きな点の1つと言ってはばからないが、パンダの1頭(全部で3頭いた)の姿は、おっさんそのものである。その堕落した姿に、観客はほとんど見向きもせず、ただ1頭だけ動いていた若いパンダにみんな列をなしていた。ちなみに我々2人のお気に入りは、この堕落パンダと、パンダを見て大興奮する中国人のお子様でした。

パンダ館を後にした我々が次に目にしたのは、咆哮しながら戦うクマと、その戦いに沸く中国の観客。初めは、単にじゃれあっているだけと思っていたが、見ているうちにどうやらここのボスを決める戦いだと気づく。新たに決まったボスを見届け、我々は金絲猴のブースへ歩みを進める。しかし、ここでも青看が役立たず、2人は右往左往。この日の気温がかなり低かったこともあり、諦めかけたその時、やっとのことで金絲猴に出会えた。心なしか寒空の下の金絲猴は寒くて切なそうだった。何だかんだで見られなかった動物は、これまたIさんが好きなカバだけ。今度来る機会があれば、地図を買って効率よく動きたいものである。


動物園を後にした我々は、夕食まで時間があったので、そこまでバスで移動することに。今度も無事降りることができた我々はスタバで冷えた体を温め、夕食までの時間を潰すことにした。今夜の食事はキノコ料理(林海野生蝱)、予約も入れたことだし大丈夫と思っていたのだが、「予約した○田ですが」と言うと、「予約された山田さんですか」と返ってきた。「いや違います」と答えると、なぜか「山田」と書かれたメモのあるテーブルに連れて行かれ、着席後「山田」のメモは隣のテーブルに移された。「○」と「山」の発音は似ても似つかないし、それぐらい自分でも使い分けられているつもりだが、結局、発音の問題なのか、他の「山田」さんが予約していたのかは不明のまま(ちなみに隣の席には、その後、別の日本人がやってきた)。しかし、そんなことも、料理が出てきた頃にはすっかり忘れて食べに走る。特にキノコ大好きなIさんはメニューが来てから、食べ終わるまで興奮しっ放し。それだけ喜んで貰えれば、予約した甲斐があったというものである(出来てなかったっていうツッコミは置いといて)。ここはキノコ料理を謳うだけあり、キノコの種類がとても多い(個人的には、龍の眼?とキヌガサダケがお気に入り)。また、恐らくメインのキノコ鍋に入れる肉団子?つみれ?は、キノコのエキスを存分に吸っており、ほおばった瞬間、そのエキスが口中に広がり一種のエクスタシーである。そして、キノコがメインなので、どれだけ食べても胃にもたれず、これまでの3日間脂っこい中華料理を食べ続けて疲れ気味の胃を癒してくれたのも、ありがたかった。


この日は珍しく腹八分目で終えることができた我々は、ここから人民広場まで、すっかり使い慣れた?バスで戻ることにする。この日はクリスマスイヴということもあり、人民広場周辺はすごい人。また、多くのカップルが頭にネコミミや鬼の角などを付けており、中には仮面舞踏会でしか使えないような仮面をつけている人も。中国人の目立ちたがりは知っていたつもりだが、ここまで大勢が同時にしていると、まるで街全体がパーティーをしているようで壮観だった。クリスマス気分を存分に味わった我々は、人の波をかき分けながら、上海駅近くのホテルへ向かう。


ホテル到着後、「ほっと一息」と思いきや、鍵が使えない。理由をカウンターで聞くと、デボジットが足りないとのこと。初日に4日分払ったと思ったのだが、彼女曰く、「1日分足りない」そうだ。その後、不足分のデボジットを払い、無事部屋には入れた。それにしても、延長したわけでもないのに、なぜ最後の1日分だけ別払いなのか、意味がわからない。入室後、初日に受け取った領収書を持って理由を聞きに行っても、「足りない」の一点張り(←だから、答えになってないって)。最終的には、デポジットは全部返ってきたのだが、どうも釈然としない。


明日は、とうとう上海を離れ、武漢に向かう。武漢の地では何が起きることやら。(続く)