上海旅行記⑤武漢旅行記①(2007年12月25日)

朝からどんより曇り空、今日は上海から武漢への移動日である。Iさんも中国に来て5日目、雨傘(ユサン、そのまま雨傘)や発票(ファーピャオ、領収書)など、着実に中国語を覚えるなど(おじさん・おばさんが、叫びながら駅前で売っていた)、やっと上海にも慣れてきた様子なのに残念。いつもは遅起きの2人だが、この日だけは遅刻はできぬと9時前には起床。


ホテルでチェックアウトをしてから、ブランチ用に小楊生煎館の小楊生煎を2箱購入。その後、来たときと同様、地下鉄とリニアモーターカーを乗り継ぎ、上海浦東空港に到着。早々にe-ticketを航空券に換えた後、少なくなった人民元を補充。そして、いよいよ搭乗手続きを済ませ、飛行機に乗り込んだものの、出発時刻を過ぎても飛び立つ様子がない。結局30分ほどして、無事上海を飛び立ち、1時間半もすると武漢に到着。自分にとっては帰ってきたことになるのだが、驚くほどに戻ってきたという実感がない(京都に住んでいた時は、京都タワーや東寺を見ると帰ってきたと思ったものだが)。
Iさんの荷物を受け取ると、足早にタクシー乗り場へ。白タク(違法タクシー)に捉らないように必要以上に緊張していたのだが、タクシー乗り場には、券を渡しながらどのタクシーに乗るか差配する人が立っており、杞憂に終わる(自分が来た時はいなかった…)。運転手にホテルの名前を告げると、知っているとのことだったので、一安心。そのまま、ホテルに向かったのだが、この運転手さんの運転は今までのタクと比べて抜群に上手く、日本の道路を走っているようだった。浴槽はなかったものの、必要以上の空きスペースが設けられており、かなり広い部屋でまずは満足。


荷物を置いた2人は武漢見学と夕飯を食べに、武漢一の繁華街江漢路へ出発。近くのバス停からバスに乗り込むと、そこには上海でも見たチケット売りおばさんの姿が。やはり武漢にもいらっしゃったのですね。武漢に来て4か月ほど経つものの、漢口には数えるほどしか来ておらず、江漢路にはタクシーで一度行ったことがあっただけ。相変わらず、表示は出ないし、乗客が多く途中からアナウンスも聞こえない、更に、景色もうる覚えだったので、どこで降りるか気が気ではない。自分の脳細胞を総動員し、耳を欹てながら、バスに揺られること小1時間。やっとのことで、江漢路に到着。初めは、Iさんがご所望の靴を探したのだが、お気に入りが見つからず、お腹を空かせた2人は夕食を確保しに、江漢路周辺をさまよい始める。この日は火曜日だったが、クリスマスだったためかどこも人がいっぱい、おろかにも自分が事前のリサーチを怠っていたため、散々歩くはめに(火鍋を食べようと思ったが、あまりの人の多さに断念)。

疲れた2人は、Iさんの直感(ご飯は外さない)を信じて、すこしきれいめで、お客さんもよく入っているお店に決定。手早くビールと、卵とトマトのスープ・酸っぱ辛い細切りジャガイモの炒め物・キノコと牛肉の炒め物・干鍋手撕鶏を注文。乾杯をして喉を潤した後、次々とテーブルを埋めていく食べ物たち。前の2つは、以前にも食べたことがあるので、味は想像できていたが、後の2品これが幸運にも大当たり。まず、キノコと牛肉の炒め物は味付けが辛かったものの、予想していた味とは異なりビックリ。Iさんにとってもこの辛さは問題なかったらしく、2人の箸は止まらない。そして、いよいよトリを務める干鍋手撕鶏(文字通り、裂いた鶏肉を鍋にしたものだが、火鍋などの鍋と異なり、鍋にはほとんどスープが入っていない)。これは火鍋を食べられなかった悔しさから注文した1品だったが、今まで食べたことのない味で、2人とも大絶賛。またいけない味を知ってしまった…注文したメニュー全てがご飯と合ったので、ご飯も大碗で合計2杯、お腹も心も満たされた瞬間でした。その後、体も暖まった2人はもう少し江漢路を歩いてみることに。ここにも、以前、租界が設けられており、銀行を中心に古い建物が保存されている。そして、江漢路の南端には、時計台付きの海関がそびえ立っている。海関を見た頃には暖まった体もすっかり冷えてきたため、ホテルに戻ったのであった。

さて、帰りのバスで少し変った光景を目にした。このバスにも、やはりチケット売りのおばさんがいたのだが、何とこのおばさん就業時間が終わったのか、途中で下車してしまったのだ(それも、バス停とは関係ない路上で)。チケット売りおばさんが乗っているバスは、基本的にお金を回収する機械も、IDカードに対応した機械も付いておらず、このバスも例外ではない。時間はまだ21時を回ったばかり、恐らくまだ乗ってくる人もあるだろうに、チケットおばさん無き後は、どのように対応するのだろうか?残念ながら、おばさんが降りた後、すぐ下車した我々はその事態を目に出来なかったのだが、中国の公共交通機関臨機応変ぶりだけはしっかりと頭に叩き込まれたのであった。(続く)