初雪・野家啓一著『物語の哲学 (岩波現代文庫)』

最近冷えると思ったら、昨晩から今朝にかけて雪が降った。武漢に来てからの初雪である。朝起きると、クリスが「今年の初雪だ」と心なしか嬉しそうに、自分に報告してくる。彼の家は武当山近く、雪ぐらい降りそうなものだが、何故だろう?(確か、以前見せて貰ったアメリカの家の写真にも雪が写っていたぞ)


一昨日・昨日と雨が降り続き、ほぼ家に引きこもっていたので、気分転換と雪景色を見に、図書館まで散歩。一歩家を出るとそこは極寒地獄、近くでは木にぶつかったタクシーが立ち往生している(こんな天気でも、タクシーはいつも通りのスピードで走っていた…)。気が滅入りそうになりながらも、グランドの横を過ぎると、きれいな雪景色が広がり、集まった中国人も手にカメラを携え、ここ一番とばかりにポーズを決めている。さすが中国人、こんな寒い日に写真を撮りにこんな所まで、お疲れ様です。グランドを通り過ぎ、山道の横を通ると、数人の中国人が登山用の杖を持って、歩いているのを発見。恐るべし中国人、少し雪が降っただけなのに、突っ込みどころ満載である。

その後、外とあまり温度差のない書庫で1時間ほど過ごし、クリスに頼まれた買い物をして帰宅。冷え切った体を温めてから食堂に行こうとすると、クリスも行きたいとのこと。彼の身支度を待つ間に、アキムも合流し、こんな寒い日に、何故か少し離れた食堂に行くことに。ここに向かう路上、自分とアキムに比べてクリスがずいぶんと慎重に歩くので、なぜだろうと思い聞いてみると、「安全第一、賢い青年クリス」だそう。もしかして、雪にトラウマでもあるのだろうか?この食堂は、最寄のそれに比べて、メニューが豊富で味も美味しいのだが、量が少ないのが難点。結局、予想以上に少なかったセットメニューだけでは足りず、小さな熱干面を追加してしまう。お腹を満たした自分とクリスは途中で、「山登りに行く」と謎の言葉を残したアキムと別れ、家路につく。帰路でもクリスの歩みは遅く、「待って、早すぎる」と何度も注意を受けてしまう。宿舎の門をくぐりようやくいつもの強気?を取り戻したクリスは、雪だるまを踏みつける(フリだが)悪ガキぶりを披露し、我々は暖かな部屋へと無事戻ったのだった。


ちなみに、今日の収穫は、野家啓一著『物語の哲学 (岩波現代文庫)』。この人は「物語り論(ナラトロジー)」の論者だが、まだ著書を読んだことがなく(論文も片手で数えられるほどしか読んでいない)、最近借りた『歴史を問う』シリーズでもしばしば言及されていたので、(今更ながら)読んでみることにした。図書館は今月20日から1ヶ月の閉館期間に入る、それまでに読めると良いのだが…


物語の哲学 (岩波現代文庫)

物語の哲学 (岩波現代文庫)

そういえば、今まで、歴史学の「言語論的転回」に言及している(または、論争に参加している)東洋史研究者を見たことないなぁ。